相続放棄ができないケース
1 相続放棄は裁判所の審査によって認められないこともある 2 亡くなった方の財産を受け取る等単純承認している 3 相続があったことを知ってから3か月経過している 4 適切な書類を提出しない、裁判所の質問に適切に回答しない 5 例外もあるので弁護士にご相談を
1 相続放棄は裁判所の審査によって認められないこともある
相続放棄は、家庭裁判所に申請して、亡くなった方の財産も借金も引き継がなくする手続きですが、家庭裁判所が審査して認めないケースもあります。
ここでは、相続放棄できないよくある3つのケースを紹介します。
2 亡くなった方の財産を受け取る等単純承認している
相続放棄は、単純承認(民法921条)するとできないと定められています。
単純承認は、財産も借金も引き継ぐという意思を示すことです。
たとえば亡くなった方の車や不動産を自分の名義に変えたりすると、財産を取得したことになりますから、単純承認したことになります。
プラスの財産はもらうがマイナスの借金はもらわないということを裁判所は認めませんので、不動産をもらっておきながら相続放棄することはできないということです。
3 相続があったことを知ってから3か月経過している
相続放棄は、自己のために相続があったことを知ったときから3か月以内にしなければなりません(民法915条)。
お子様や配偶者は、亡くなった当日や翌日には、死亡の事実を知り、自己のために相続があったことを知ったと認定されるのが通常です。
そのため、亡くなってから3か月過ぎて相続放棄を申請しても、裁判所が認めないことが原則ということになります。
4 適切な書類を提出しない、裁判所の質問に適切に回答しない
相続放棄は裁判所で行う審判なので、戸籍謄本や相続放棄する理由を書いた書面など、裁判所が求める書類を適切に提出したり記載しなければなりません。
裁判所は、提出された書類を見て、相続放棄しようとする方に対して、文書等で質問をし、回答を求めることもあります。
適切に回答しなければ、裁判所は相続放棄を認めません。
5 例外もあるので弁護士にご相談を
ここまで相続放棄が認められないよくあるケースを紹介しましたが、常に財産を受け取った場合や亡くなって3か月を過ぎた場合に相続放棄ができないわけではありません。
ただ例外的に相続放棄を認めてもらう場合は、法律の専門家のアドバイスが必要なケースが多いので、弁護士におたずねください。